カウンセリング

カウンセリングを受けてもメンタルの不安定さが改善せず再発を繰り返すときの対応

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こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。

私は心が不安定になっている方々とのカウンセリングを、
日々行なっています。

その中で大切にしていることのひとつは、
クライエントさんの意向を伺いながら、
目標を設定していくことです。

こう書くと、
「調子が悪い時に目標?」と
疑問に思われた方もおられるかもしれません。

確かに調子が悪い時に、
無理な目標を設定すると、
プレッシャーになるばかりで、
逆効果と言っていいでしょうね。
ますます悪化して
しまいます。

しかし心が不安定なときでも、
目標を設定することなく
カウンセリングを進めていくと
これはこれで、
回復の効率が上がらないのです。

これはカウンセリングだけでなく、
自力で回復を進めるとしても
同じことです。

その際の参考になるかと思いますので、
少し書いてみますね。

設定する目標は、
具体的なものにする必要があります。

たとえば「ひどい落ち込みが軽くなる」とか、
「不安がなくなる」というのは、
具体的とは言えません。

単に自分のコンディションが良くなる的な目標は、
カウンセリングの時には、
あまり役に立たないのです。
もっと具体的なものが
役に立ちます。

それは心が不安定になったことで、
できなくなっている
具体的な行動ですね。

例えば調子が悪いと、
外に出られなかったりしますよね。

であれば、
「外に出る頻度が上がる」という目標は、
「ひどい落ち込みが軽くなる」よりも
具体的で望ましいです。

もちろん、どのくらい外に出られるかは、
ご本人のコンディションにより変わります。

今のコンディションを踏まえ、
身の丈にあった具体的な目標を
設定することが大事です。

そしてこの目標が、
すぐ行動できそうかどうか、
確認します。

行動ができない可能性は、
2通りあります。

ひとつは単純に、
ハードルが高すぎる場合。
その場合は、ハードルを下げ
行動しやすいものにします。

もうひとつは、
どんなハードルを下げても、
行動できない場合。
それはコンディションや能力の問題ではなく、
心理的な壁があるということですね。

そこで行動しようとすると、
どんな心理的反応が妨げるかを
調べていきます。

この妨げを解消していけば、
目標を達成する可能性は
アップします。

そして次のカウンセリングで、
状況を確認し、
フォローアップしていくのです。

このやり方は、
目標に向かって進むことに焦点を当て
やり取りを進めていくので
結果が出やすいのです。

ただ目標を立てること、
に強い抵抗感や、
反発が出てくることもあります。

それは良くなること自体への
反発である可能性が高いです。
その場合、目標設定についての
やり取りを続けても、
ハードルを調整しても、
行動につながらないでしょうね。

別のところに
焦点を当てる必要があります。

それは「良くなりたくない」
という思いです。

カウンセリングに
お越しになっているわけですから、
「良くなりたい」という思いは、
当然あります。

「良くなりたい」と思いと同時に、
無意識レベルで「良くなりたくない」
という思いがあることは、
結構多いのです。

この無意識に焦点を当て、
良くなること自体への抵抗を
緩めていかないと、
カウンセリングは停滞します。

信じがたいことかもしれませんが、
慢性的なメンタル不調に関しては、
かなりの割合で、
このような現象が見うけられるのです。
だからこそ、慢性化しているとも
言えます。

その場合は、
自力で回復にもっていくことは、
ほぼほぼ無理でしょうね。
「治りたい自分」と「治りたくない自分」の
調停を自分ひとりでやるというのは、
厳しいものがあります。

しかも、このような観点やスキルは、
専門家であるカウンセラー、セラピストですら、
全員が持っているわけではないのです。

その数はかなり少ない、
というのが実際のところです。

だから、慢性的なメンタル不調をお持ちの場合は、
カウンセリングを受けるなら、
単に療法だけを売り物にしている人は、
避けた方がいいでしょうね。

その療法自体は、
非常に強力なものかもしれません。

しかし療法は
クライエントさんが
「良くなりたい」という思いがあって
初めて機能するものなのです。

もし「変わりたくない」という
思いが強い場合は、
どんなに素晴らしい療法でも
うまくいかないのです。

そもそも信頼関係は築けないでしょうし、
ましてや協力関係もありません。
そのような状況で
強引に何かをやっても
ギクシャクするだけです。

全ての療法は、
カウンセラーとクライエントが、
信頼関係、協力関係にあって、
初めて機能するものです。

しかし、「良くなりたくない」と
内心強く思っている場合は、
カウンセラー、セラピストと
信頼関係を持ち、協力的に何かを進めていくことは、
極めて困難です。

カウンセラーを選ぶ際は、
療法の優劣だけで
決められません。

この困難な状況。
「変わりたい」と「変わりたくない」が
同時にあり葛藤しているクライエントさんと
適切に関わる能力があるかどうかが、
ポイントになってきます。

カウンセラーが、
クライエントさんの中にある
相反する主張に対し、
板挟みになる状況は避けられないからです。

「良くなる」ための働きかけをしたら、
クライエントさんの中の「変わりたくない」部分から
反発を受けます。

だからと言って「良くなる」ための働きかけをしなかったら
クライエントさんの中の「変わりたい」部分からの
プレッシャーを受けるでしょうね。

どちらを選んでも、
反発がある。
そのような状況に対応する
能力が不可欠なのです。

それは単に何らかの療法を学び、
提供するのと比べ
数段高い能力が必要です。

それだけの力量があるかどうか、
カウンセリングを受ける前に
見極めたいところですよね。

その目安のひとつは
経験年数です。

長くやっていればいるほど、
このような何を選んでも拒絶されるという、
難しい状況を経験しているからです。

経験年数が少ないうちは、
プロであっても、
このような対応力は、
なかなか身につかないものです。

どうしても学んだ療法を
教科書的に進めるやり方に
こだわってしまうからです。

イレギュラーな展開への対応力は、
現場で難しい局面に頻繁に遭遇し、
困り果てることで初めて、
その重要性に気づくものです。

しかも重要とわかっても、
実際に対応できる人から、
適切な教育を受けないと、
なかなか身につくものではありません。

もしこのような対応力を持たないまま
カウンセリングを続けていたなら、
疲弊し自信も失うので、
途中で燃え尽きてしまいます。
長く続けることは
難しいでしょうね。

ただ、現場経験が少ないまま、
療法を同業者に教えるだけで
年月を重ねているカウンセラーは、
そのような場面にあまり遭遇していません。
当然適切に対応する力は、
持ち合わせていません。

長年のメンタル不調に対して
適切に対応できるカウンセラーを見抜くことは、
ある意味最も重要なことです。

そのためには普段、
どのような活動をしているか、
事前にリサーチすることです。

するとかなりの確率で、
見分けがつくようになります。

優れた療法を身につけることは大切ですし、
わかりやすいので、
そのようなカウンセラーを選びたくなるのも
無理はありません。

しかしそれは力量があることの
確実な証拠ではないのです。

カウンセラーが持っている
療法の資格以外の要素。
特に「良くなりたくない」という思いが強く、
ある意味カウンセリングに
コミットしきれない問題に対する
対応力を持っていることが
長年の心の不安定さを解消するには
不可欠の要素となります。

ご参考になれば幸いです。

 

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