インナーチャイルドワーク

インナーチャイルドワーク(内なる子どもとのコミュニケーション)は癒しにもなれば、メンタルの悪化につながることもある

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こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。

心理療法の中に、
インナーチャイルドワーク
という技法がありますよね。

カウンセラー、セラピストの方には、
馴染みがあると思いますが、
聞きなれない方もおられるかと思いますので、
少し説明させていただきます。

私たちの心は、
ざっくり2つに分けると、
理性の部分と感情の部分があります。
この不一致が、
いきづらさにつながっているんですね。

理屈としてはやらない方がいいわかっている、
でも感情としては
やらずにはいられない。
こういった体験は、
誰にでもあると思います。
感情が理屈についていけないんですね。

この不一致があまりにも大きいと、
理性で無理に抑え込んでとても苦しくなるか、
感情に任せて大変な状況になるか。
どちらにしても、
非常に生きづらい状態になります。

そして理性は大人の部分、
感情の部分は子どもの部分と
考えることもできます。

その不一致を減らすため、
クライエントさんの心の中の
感情の部分に触れ、
コミュニケーションをとっていきます。

その結果、深い心の癒しが起きたり、
根深いマイナスの信念が改善されたりと
大きな心理的変容が起きる可能性があります。
こういった内なる子どもに働きかけるアプローチの総称を、
インナーチャイルドワークと呼んでいるのです。

いろんな流派に存在するので、
かなり普遍的なアプローチなのだろうと思います。
意外なことに、
認知行動療法にもあります。

このインナーチャイルドワーク。
うまくいったときは、
素晴らしい効果があります。
ただ万能ではありません。

セッションの現場的には、
要、取り扱い注意です。
なぜならインナーチャイルドワークで助けになる人もいれば、
逆にメンタルの悪化につながる人もいるからです。

しかもやっかいなのは、
セッション自体は素晴らしい癒しの経験なのに、
悪化していくケースがあるのです。

インナーチャイルドワークのなかで、
本当にハートの震えるような、
深い体験をしたとします。

クライエントさんも感銘を受け、
「こんな素晴らしい体験は、
生まれて初めてです!」
などと感謝の言葉とともに
セッションを終えることもあります。

ところが次回お越しになると、
クライエントさんは絶不調ということも
結構あるのです。

あのセッションで、
「私の全ての問題が終わった」
と感じ、至福に満たされたはずなのに、
空虚感や絶望感がぶり返し
抜け出せないままになることも。

クライエントさんはもちろん、
セラピストも混乱してしまいます。
私もそんな時期がありました。

しかし最近は、
このようなことは起きなくなりましたね。
それはインナーチャイルドワークが
そのクライエントさんの助けになるかどうか。
その見極めの精度が上がったから。

私が見ているのは、
クライエントさんの
心の器がどのくらい頑丈か。
一般用語で近いものがあるとすれば、
「ストレス耐性」ですね。

つまり、ちょっとしたストレスで、
すぐに心が大揺れになるタイプの方は、
インナーチャイルドワークを行うと、
副作用が大きいということです。
心の器が弱いので、
インナーチャイルドワークのいい体験を、
自分の中に定着させることができず、
流れ去ってしまうのです。

だからこのいい感じが、
残りません。
うつろいやすいのです。

このギャップに、
クライエントさんは驚き、
そして苦しむのです。

またインナーチャイルドワークは、
心の器が弱い人にとっては、
いい体験だったとしても、
大きな負担がかかります。

そのため心の器に、
ダメージを追うことも。
するとますます、
ストレス耐性が落ちてしまうのです。
これがいい体験をしたはずなのに、
どんどん調子が悪くなる理由です。

これを「好転反応」と捉え、
少し落ち着いたら、
またインナーチャイルドワークを
進めたくなるかもしれません。
これは私の知る限り、
うまくいったためしはありません。

セッション中にいい体験は
できるかもしれません。
でも肝心の、
日々の心の調子は、
ますます悪化していくのです。

この現象を理解する上で
心のステイトとステージの違いを
知ることも役立ちます。

ステイトというのは、
文字通り状態。
今気分がいいとか。
最高の体験を、
しているとか。

ステージは、
心の体質とでも言えばいいでしょうか。
心の安定度が高まり、
ストレスに対しても、
無理なく持ちこたえられる、
心の強さが備わってくる
といった感じです。

セッションで提供するものが、
素晴らしいステイトだったとしても、
ステージがアップしない、
もしくは悪化するならば、
それは単なるレジャー体験。
変容でもなんでも
ありません。

逆にセッションで、
素晴らしい体験がなかったとしても、
日々の生活で、
生きづらさが確実に減り
ラクになっていくならば
ステージがアップしています。
これは変容ですね。

インナーチャイルドワークを使い所を間違えなければ、
素晴らしい体験(ステイト)もできるし、
ステージもアップすることにも役立ちます。
その目安は先ほども書いた、
心の器の強さ。
もしくはストレス耐性。

日々のストレスに対する、
普段の反応を確認し、
ストレス耐性が高いことがわかれば、
インナーチャイルドワークは、
変容を促すことに役立ちます。

しかし、ストレス耐性が低いならば、
インナーチャイルドワークは、
いい体験ができたとしても、
心のコンディションは、
かえって落ちることが多いでしょうね。

そんなときは、
心の器を丈夫にするアプローチを併用する、
という進め方もあります。
するとインナーチャイルドワークの
弱点を消すことができるのです。

このようにインナーチャイルドワークは、
単に手順通り進めれば、
現場でもうまくいくわけではありません。
パワフルなアプローチなので、
ストレス耐性の度合いによっては、
対応に工夫が必要なのです。

 

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