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浅いカウンセリングと深いカウンセリング、どちらが良いか?

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カウンセラー、セラピストにとって、
セッションが「深い」というのは、
「良いセッション」と、
ほぼ同義語になっているように思います。

でも冷静に考えるならば、
必ずしもそうではないはず。

なぜならセッションは、
何らかの生きづらさを抱えた方がお越しになり、
ラクになることを目的とすることが
大半だから。

もし「深い」セッションをすることが、
必ずこの目的に近づくならば、
「良い」と言えるでしょう。

でも実際は、
違います。

「深い」セッションをすることで、
逆に生きづらくなることだってあります。

だから限られた時間と予算の中で、
セッションを受けていただくクライエントさんに、
やみくもに深めるセッションを
行うわけにはいきません。

なぜならそれは、
「ラクになる」ための最善とは、
限らないからです。

ちなみに「深い」心理療法には、
2つの源流があるように思います。

一つはフロイト派の心理療法。
子ども時代の記憶を意識化させ、
傷を解消していく。
この切り口は
心理療法の始まりから大事にしている考え方ですね。

しかしフロイト自身、
ここから異なる理論、
アプローチへと変わっていきました。

ここは書き始めると長くなりますし、
本題ではありませんので、
別の機会に譲りたいと思います。

もう一つの源流は、
ユング派の心理療法です。
どちらも無意識を重視します。
つまり深めることを
大事にする心理療法です。

フロイト派が焦点を当てるのは、
生まれてから大人になる過程で抑圧が作り出した
個人無意識。
ユング派が焦点を当てるのは、
より普遍的な集合無意識。

どちらが深いかと言うと、
それは集合無意識でしょうね。
理論的にもそうです。

ちなみに私は、
個人無意識に焦点を当てたカウンセリングと、
集合無意識に焦点を当てたカウンセリング。

両方を受けた経験がありますけれど、
感覚的には集合無意識の方が
深みを感じますね。

これはスピリチュアルで言われる
過去生とは違います。
この考え方自体賛否が分かれますが、
仮に存在したとしても、
集合無意識の方が深いでしょうね。
なぜなら個人のアイデンティティを
越えているからです。

少し話が脱線しました。

もし単に深ければ深いほど良いのであれば、
集合無意識に焦点を当てたカウンセリングを
ひたすらやればよく
個人無意識へのカウンセリングは不要という
ことになってしまいます。

ただカウンセリングは、
そんなに単純なものではないと思います。

心は地層のようになっていて、
少し深い層は個人無意識。

そして非常に深い層は、
集合無意識と言うこともできます。

そしてどこに働きかけるといいのかは、
そのクライエントさんによって異なると、
思います。

それこそケースバイケース。

集合無意識中心に
進めたほうがいいこともあれば、
個人無意識中心に
進めたほうがいいこともある。

集合無意識はへのアプローチは、
いわゆる原型(アーキタイプ)を
大事にします。

個人無意識は、
現代ではインナーチャイルドワークとして、
取り組むことが多いです。

私の場合、
両方必要でした。

深ければいいというものでも、
ありませんでした。

でもこれは心理で考えると
納得しづらいかもしれませんね。
でも西洋医学ならどうでしょうか?

何らかの身体の不調を
運動、食事、内科的対応で改善を図る方法があります。
一方で、手術もありますね。
どちらが深いかと言えば、
手術、です。

でもみんなが、
進んで手術を受けることは
ないですよね。
リスクも大きいからです。

心理も同じで
深めるというのは、
それ相応のリスクもあるのです。

手術をするのは、
それに耐えられる身体の強さが、
必要となります。
心理的に深めるアプローチも
同じです。

クライエントさんの必要性もあれば、
それぞれメリット、デメリットがあります。

それらを総合的に考えて、
クライエントさんに提供することが大切なのです。

 

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