カウンセラー、セラピスト向け情報

戦術レベルのカウンセリングと戦略レベルのカウンセリングの違いとは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。

私は日々のカウンセリングに加え、
同業にカウンセラー、セラピスト向けに
アドバイスも行っています。

個別に行うこともありますし、
セミナー形式で行う事例検討会もあるんですね。

毎回熱のこもったやりとりで、
盛り上がります。

クライエントさんに
良いカウンセリングを提供したいという情熱を
分かち合っていくのは、
私にとって最も充実した時間の一つですね。

事例検討会では
カウンセリングを進めていく上での
困っているところを解消し
スムーズにいじめていけるようサポートしています。

そのサポート内容は様々。

具体的な対処法についてお伝えすることもあれば、
そのセッションで何が起きてるかを
まずは分析し客観的に見ていくこともあります。

あるいはそもそもどのような理論を採用すれば
理解が深まるのかということについて
言及することもあります。

カウンセリングをサポートするというのはこのように
想像以上に複雑なものです。

もし何らかの技法を身につけ
その使いこなしを高めるだけならば
それは戦術レベルのカウンセラーと言えます。

そして技法の使いこなしだけではなく
もっと大きな視点から
セッションを進めていく視点を持ちならば、
戦略レベルのカウンセリングと言えます。

例えば、「むちゃ食い」というテーマを
お持ちのクライアントさんへの対応を
検討していくとします。

もし「どう対応したらいいか」ということだけに
フォーカスするならば
これは戦術レベル。

もっとシンプルなテーマであれば
戦術レベルのアドバイス。

つまり具体的に何をするのか伝えるだけで
うまくいくことも多いでしょうね。

しかし「むちゃ食い」というテーマは
そんなに単純ではありません。

アドバイスを聞いて実行するだけでは
一つの項目については進むかもしれませんが
また別の引っかかりが起きてきて
すぐに行き詰まることでしょう。

これでは対応が場当たり的になるばかりで
埒があきません。

そもそも「むちゃ食い」が
どのような心理メカニズムで起きてくるのか。

そして今どのような状態なのか。

何を目指せばいいのか。

このような要素について
深い洞察が必要になります。

単に過去にまつわる心の傷にフォーカスし
解消していっても、
結果は思わしくない可能性が高いです。

なぜならば過食は
過去にフォーカスしても、
傷つき記憶が出てこないことが多いからです。

もしそのような苦痛を抑圧しているならば
成功率は高いです。

しかし、解離が起きていることが多いので
傷つきの取り扱いが格段に難しくなるのです。

具体的な場面が特定できなくても
開放が進む方法を採用する必要があります。

しかも傷つきの解消だけでは、
足りません。

人間関係にまつわる
深い思い込みがあります。

そこを和らげることも必要ですし
具体的なスキルを知ることも
助けになります。

相手との境界線を築き
自分を守ったり、
重要なことはしっかり主張できるようにしたり。

また「むちゃ食い」はある意味、
本人にとって最強の
ストレス解消法とも言えます。

「むちゃ食い」をすると
短時間でリラクセーションが起きるので
そのクセがなかなか抜けないんですね。

でも「むちゃ食い」に代わる、
短時間でリラックスできる手段を
身につけることができると
それは助けになります。

今回は「むちゃ食い」を例に挙げましたが
多くのセッションは
このようにいろんな要素が
複雑に絡まりあっています。

それを戦術レベル。

つまりやり方を追求し、
進めるスタイルでは歯が立ちません。

またやり方を追求するのとは対象的な
あり方を重視するアプローチもあります。

もちろんあり方は大事。

でもあり方だけでも
今回例に挙げた過食のテーマは
到底歯が立ちません。

「むちゃ食い」というテーマにまつわる全体像を捉え
いろんな要素に目配せしながら進めていくという
戦略レベルの取り組みが必要となってくるのです。

事例検討会では戦術レベルはもちろん
戦略レベルの取り組み方も、
状況に応じて分かち合っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

関連記事

カウンセラー、セラピストの熟練度によってクライエントさんの「防衛」への取り組み方は変わってくる
カウンセリングで身体の痛みに取り組む際、3つの分野を意識し必要に応じて使い分ける必要がある
浅いカウンセリングと深いカウンセリング、どちらが良いか?

 

メルマガにご登録いただくと、専門家に役立つ情報が定期的に配信されます。
カウンセリング、セラピーのセッション力を高めるメルマガ(無料)
https://www.reservestock.jp/subscribe/3641

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

  1. カウンセリングがうまくいくには具体的な手順とアドリブの両方が必要…
  2. カウンセリングで、クライエントさんが知らない技法を導入するときの…
  3. 脇の下に働きかけると堰を切ったように感情開放が始まりました
  4. 浅いカウンセリングと深いカウンセリング、どちらが良いか?
  5. カウセリングでクライエントさんの思考をキャッチし変化を促す変える…
  6. 過去の記憶が甦ることの悪影響は、小さなものでも侮れません
  7. カウンセリングの効果が出ないときの原因と対処法
  8. 患者さんの対応を考えるケーススタディの一例を紹介します

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


おすすめ記事

自分を追い込む癖があると仕事を頑張り過ぎ精神的に辛い ここから抜け出し楽になるのはカウンセリングでも重要なテーマです

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。カウンセリングをしてますと追い込み癖が原…

不全感があると動けなくなるし、仮に頑張っても虚しい理由と解消法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。カウンセリングをしてますと不全感を訴える…

職場の人間関係や仕事内容による気疲れを解消する方法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。カウンセリングの中で「仕事している…

職場、友人、親友、恋人、家族における人間関係の距離感がわからない このストレスを解消し、ラクに関わる方法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。カウンセリングをしてますと「人間関係の距…

ひどい自己嫌悪に陥り、止まらなくて辛いときの対処法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。自己嫌悪があると辛いですよね。自分で…

決められない 自分の生き方、仕事の進め方はもちろん、買い物すら優柔不断となり、決めた後も悩んでしまう原因と対処法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。カウンセリングをしていますと「決められな…

怖さと不安で行動できない ギリギリまで何もできずイライラするのを改善する方法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。カウンセリングをしてますと「行動できない…

自分がわからないのでイライラし、苦しくなってしまう この生きづらさの原因と対処法を解説します

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。自分がわからない、という悩みはカウンセリ…

生きるのが辛い、しんどい、きつい その4つの理由と、原因別こころが軽くなる対処法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。生きるのが辛い。とにかくしんどい。…

フェイスブック、ツイッター等で、新型コロナウィルス情報を見て不安になったときの対処法

こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。最近(2020年3月)、クライエントさんと…

アーカイブ

カテゴリー

PAGE TOP