カウンセリング、セラピーで私が提供しているのは、
生きづらさを抱えておられる方々のサポート。
その苦しみの多くは、
社会の枠組みにうまくはまらないことと
関係しています。
一時期流行ったのは、
社会の枠組みなんて無視し、
自分らしくなりましょう
というコンセプト。
しかしこれは、
一時的な高揚感をもたらすけれども、
長期的には社会適応がますます下がり、
かえって辛くなってしまうケースが多いです。
とは言え、
単に社会の枠組みに適応させるのが、
いいかどうかは難しい問題ですね。
例えば戦前の日本社会や、
それこそナチスドイツへの適応をサポートすることが
良いこととは思えません。
難しいのは過去の時代に関しては、
ある程度距離が取れるので、
おかしいと、すぐわかります。
でも現在進行形で
見抜くのは難しい。
それにおかしいとわかったところで、
ただ社会に違和感を感じるようサポートすると、
それこそ不適応になり、
かえって辛くさせてしまいます。
カウンセリング、セラピーで目指すことが多いのは、
本人が望めばですけど、
まずはメンタルが安定すること。
社会でそれなりに適応し、
やっていけること。
社会に対しての違和感に目覚めたり、
自分らしさにフォーカスするのは、
この段階に入ってからが
多くの場合無難です。
メンタルが不安定な段階で、
社会への違和感に目覚め、
自分らしさの追求が始まると、
極端な方向に走りやすいです。
そして結局、
本人も強い不全感と後悔が
残りやすいのです。
メンタル不調の方への対応は、
まずは社会の枠組みへの
対応力を高めることは
いろんな意味で大切と思います。
でもそれで終わっていいかどうかは、
ケースバイケース。
クライエントさんによっては、
さらなる段階に進みたい方も
いらっしゃるでしょうね。
ここはマズローの欲求段階で言うならば、
五番目の自己実現欲求。
カウンセリング、セラピーは、
それ以前の欲求を満たすところから始まります。
一番目の生理的欲求は、
カウンセリング、セラピー以前の段階ですね。
そして多くは二番目の、
安全の欲求を満たすところから始まります。
クライエントさんは最初の段階では、
カウンセリングを受けること自体、
不安でいっぱいです。
まずは安全感、安心感を、
提供しないことには
前に進むことはできないのです。
そして三番目の
所属と愛の欲求。
これは2つあって、
まずはカウンセラーとの間で、
「ここにいていい」という感覚が
持てることが大切です。
すると日常生活でも、
「ここにいていい」とか、
「ここは自分の居場所」と
思える感覚が出てくるのです。
これが現実適応の、
始まりです。
そして四番目の、
承認の欲求。
自分らしさ、個性のようなものを
自覚し始め、
周りもそれを認めてくれる。
社会適応として、
クライマックスを迎えます。
やがて五番目の段階の欲求が
芽生え始めます。
それは自分の個性が、
全面的に花開いた状態です。
そして周りの承認云々ではなく、
自分の共同体にとって、
有益なことは何か、
といった広い視点に立つようになります。
これが自己実現です。
このように、
下の欲求が満たされてくると、
次々に新しい欲求が立ち現れます。
一番目の生理的欲求から、
二番目の安全の欲求までは、
心の基盤を安定させる段階。
三番目の愛と所属の欲求と、
四番目の承認の欲求は、
社会適応を促進する段階。
そして五番目の自己実現欲求において、
人として成熟していく段階に入ってくるのです。
このように一般的にカウンセリング、セラピーの領域とされる、
二〜四番目の欲求が満たされると、
自然に五番目の欲求である、
自己実現欲求に自然にシフトしていきます。
このようにカウンセリング領域と、
自己実現領域は地続きです。
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