カウンセラー、セラピスト向け情報

カウンセラー、セラピストの熟練度によってクライエントさんの「防衛」への取り組み方は変わってくる

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カウンセリングにおいて、
クライエントさんの「防衛」が起き、
そこに取り組む必要性が
出てくることがあります。

この「防衛」とは
一体何でしょうか?
「防衛」心に苦痛があり、それが強すぎると、
人は本能的に見ないように、
感じないようにする
メカニズムのことです。

このように書くと、
どうしても悪いもののように思いがちです。
でもそうとは限りません。
「防衛」の名の通り、
自分の心を大きな苦痛を感じることから
守るものであり、
必要なものだったりします。
心の安全装置ですね。

カウンセリングは、
生きづらさをラクにすることが、
主な目的です。
そのためには、今どんな苦痛があるのか、
まずは現在の状態を共有する必要があります。

しかし実際のカウンセリングでは、
ご自身の意志でお越しになったとしても、
何が苦痛なのかすら、
話すらできないこともあるのです。
それはクライエントさんの意志とは関係なく、
「防衛」が発動するからです。

このカウンセリング中にも起きてしまう、
「防衛」への取り組みは、
最重要項目のひとつです。
それだけ奥が深いんですね。

しかし、カウンセリングやセラピーを学んで
日が浅いうちは、
「『防衛』を解除することは良いこと」
と無条件に思ってしまいがちです。

例えば「抑圧」は
代表的な「防衛」のひとつ。
感情を押さえつけ我慢する。
言いたいことを言わず、
感情を溜め込む。
嫌なことを無理に
やり続ける。

こういった防衛を解除し、
解放したくなるのは当然です。
実際、防衛を解除して
ラクになることもあります。

しかし裏目に出るケースも
かなりあるのです。
なぜなら「防衛」は、
百害あって一利なし
というわけでもありません。
役立っている面もあるのです。

もちろん「防衛」があることで、
苦しかったり、
生きづらかったりはあります。
でも「防衛」を解除さえすれば、
問題は解消し、
クライエントさんはハッピーに
なるわけでもありません。

それは「防衛」を解除したことによる
デメリットが出てくるからです。
ここが一般には、
あまり知られていないことですね。
にわかには
理解しがたいことかもしれません。

私も初心者のころは、
抑圧を解放する=カウンセリングと
思っていました。
そういう学びしか、
知らなかったからです。

でもそのアプローチの限界を知り、
学びを深めていくなかで、
「防衛」は解除さえすればいいという発想は、
クライエントさんにとって役に立つどころか、
害をなすことすらあると実感しました。

それは現場での実体験からです。
そしてわかってきたことは、
「防衛」について
解除すること=良いことと
教えているところは、
先生自体の現場経験が少ないことが
多いんですね。
カウンセリングやるのと
講座を行うのは、
同じ体験ではありません。

そして私が学びを深めたのは、
カウンセリングの経験が、
非常におありの方でした。
おそらく数万件くだらないという。

でも最初のうちは、
あまり関心が持てませんでした。
保守的で古臭く、
思えたからです。

一方、感情の解放を強調するアプローチは、
新しく可能性に
満ち溢れているように見えました。
でもそれは当時の私が経験が浅く、
それしか理解できなかったから。

これは舌が肥えていないと、
やたら味付けの濃い料理の方が、
味わい深い料理より、
美味しく感じるのに似ています。

カウンセリングにはいろんなタイプの
クライエントさんがいらっしゃます。

特に長年メンタル不調を
抱えておられる方は、
「防衛」の仕方も複雑です。

単なる抑圧解放だけでは、
行き詰まります。

「防衛」が解除すると
マイナスになる可能性が高いのです。

例えば「抑圧」が解放され、
言いたいことが言えるようになった。
我慢していたことも、
どんどん行動できるようになった。
ただその結果、
職を失い、人間関係も破綻し、
生活の質がかえって落ちる人も多かったのです。

最初は解放感から
高揚感があります。
しかし、その波紋が大きすぎて、
より大きな苦しみが、
ボディブローのように効いてきます。
その結果、メンタルはかえって不安定になり、
状況も悪化してしまうことすらあります。

とは言え、
抑圧をそのまま放置するなら、
そもそもカウンセリングを
受ける必要がありません。
時間とお金をかけた分、
マイナスですよね。

つまりカウンセリングでは、
単に「防衛」を解除するのでもなく、
放置するわけでもない、
という多様な関わりが必要です。

そのさじ加減は、
クライエントさんによって、
全て変わってきます。

つまりマニュアル化は
できないのです。

奥が深いテーマですね。
このさじ加減がわかり、
現場で対応できるようになったなら
本当のカウンセリング力が
身についたと言えるのです。

まずは「防衛」対する見方を、
広げ深めることが大切です。
実際「防衛」ついての考えを聞くだけで、
そのカウンセラー、セラピストの経験や力量が、
かなりの部分判断できます。

「抑圧をただ解放すればどんどんよくなる」
という見方しか持っていないならば、
そのカウンセラー、セラピストは初心者ですね。
経験年数に関係なく、
そう言えます。

もっと多様な見方ができるカウンセラー、セラピストなら、
熟練度が高いと言えます。

ちょっとした悩み程度なら、
初心者的な認識のカウンセラー、セラピストでも、
対応できるかもしれません。

しかし、長年の慢性的なメンタル不調の場合は、
「防衛」の解除をすることしかできないと、
悪化する可能性大です。
多様な見方のできる、
熟練度の高いカウンセラー、セラピストが
関わる必要があるのです。

 

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