心の傷

心の傷 事故、いじめ、パワハラ、虐待、DV等で負ったダメージを回復させるには

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こんにちは、心理カウンセラーの高牟禮(たかむれ)です。

私たちは、
予期せぬ過剰なストレスに
晒されることがあります。

それは災害、事件、事故といった突発的なものもあれば、
いじめ、パワハラ、虐待、DVなどといった
日常生活の中で起きるものもあります。

通常のストレスであれば、
自然に解消し、
長引くことは少ないです。

しかし、過酷すぎるストレスは
ダメージとして残り続け、
様々な悪影響をもたらします。

このような心の傷によって
どのような不調が出るのか。
どう解消していけばいいかを
お伝えします。

どんなことが心の傷になるか?

自分の命、あるいは身体に対する深刻な脅威
(暴力、レイプ、戦争体験、重篤な病気)。

これは文字通り自分に対して脅威が及ぶ体験ですね。
ひどい怪我をしたり、命まで失われるほどの危機にさらされ、
とても怖い思いをすることで
大きなダメージを負うことがあります。
望まないセックスの強要も、
この尊厳が踏みにじられ心の傷となります。

他人の事故、暴力による重症、あるいは殺害、
事件、天災、テロ行為、戦争などの目撃。

他人に降りかかった出来事であっても、
そのシーンを目撃することは、
多大なダメージを負い、心の傷になることがあります。

その場に居合わせたときはもちろん、
テレビやパソコンの映像を通して、
ダメージを受けてしまうことも多いです。

自分の子供、配偶者、身近な親族、あるいは友達に対する深刻な脅威
(暴力、レイプ、人質に取られる、戦争体験、重篤な病気)。

他人の被害を目撃しても、
大きなダメージになるわけですから、
身近な大切な人が脅威にさらされたなら、
さらに過酷なダメージになりやすいです。
これは誰にでも起きうることです。

例えば子供のころ、
親が急死したことで、
そのダメージが大人になっても、
ずっと残り続けることもあります。

心の傷によって、どんな不具合が起きてくるか?

辛い過去の記憶が繰り返しよみがえる

不愉快で思い出したくない出来事が勝手によみがえり、
今起きていることのように辛くなる現象。
人によっては、1日に何度も思い出してしまい、
何もできなくなることすらあります。

これが夜に起きると
悪夢となります。
このような形で蘇ると、
大きな苦痛を伴うので、
また思い出すことに対して恐怖や
不安を感じるようになります。

活動性が下がり、感情も麻痺する

パワハラを受けた職場に
加害者がいなくなっても戻れなくなる等、
過去の記憶を連想させるもの全てを
避けてしまうようになります。

日常生活で喜怒哀楽がなくなり、
現実感がなくなったりします。
自分という感覚も希薄になり、
外の世界もプラスチックでできた
作り物のように見えることも。

自分がジェルのような何かに包まれていて、
外の世界に触れることができていない
感覚になることがあります。
過去の記憶が蘇るのではなく、
逆に過去の出来事自体を
忘れてしまい思い出せなくなったりします。

これらは過去の苦痛が大きすぎるため、
心に麻酔がかかっている状態です。
記憶力、集中力もなくなり、
好きだったこともどうでもよくなったり、
異性に興味がなくなることもあります。

過敏になり興奮しやすくなる

過去の出来事がダメージになっていると、
過敏さ、興奮しやすさが顕著になります。
小さな音も気になるようになり、
大きな音がするとしばらく動悸がとまらないことも。

頭が回らなくなり、
ミスも増えます。
いつも緊張していて、
ひどくイライラすることも多いですね。

寝つきが悪くなり、
明け方にもしょっちゅう
目が醒めることも多いです。

心の傷への初期対応は安全、安心の提供

心の傷があると、
自分への脅威が去っても、
その恐怖は消えません。
まずは安全、安心の提供が第一です。
脅威が及ばない環境の確保が大切です。

人に対しての恐怖は、
徐々に信頼関係を作ることで解消していきます。
ただいきなり親密な態度は、
境界線を脅かされたと感じ逆効果になることもあります。

節度を保ち、
境界線を尊重する対応の方が、
むしろ安心でき、信頼感につながります。

安全感、安心感が確立され、
人に対する信頼感が戻ってきたら、
徐々に心の傷を解消するアプローチも、
可能になってきます。

心の傷を解消するアプローチ

ダメージが比較的小さい心の傷の場合

ネガティブ感情は、
言葉にならない感覚のままだと、
そのまま残ってしまいがちです。

この感情を言葉にしていくと、
徐々にほぐれ楽になっていきます。
受容的に聞いてもらいつつ、
体験を共有していく作業をを進めると、
より効果的です。

ただダメージが大きい心の傷は、
逆効果になるので注意が必要です。
例えば、頻繁に過去の記憶が蘇っている状態ならば、
話せば話すほど、
他の辛い記憶まで思い出され、
かえって苦しくなるだけです。

このどんどん思い出される状態を放置すると、
過去の出来事のダメージは、
かえって大きくなってしまいます。
再外傷化です。

かつて心理療法では、
辛い過去を思い出し、
苦痛と向き合うことで楽になる、
という考え方が主流でした。

しかし今日では、
逆効果の場合も多いと知られています。
カウンセリングを利用する場合は、
このような最新の動向を知っているかどうか、
確認してから受ける方が安全です。

ダメージの大きな心の傷

過去の痛みが強すぎる場合は、
イメージ、言葉といった
出来事を象徴化するアプローチは、
対処に向きません。

体を使ったアプローチで、
まずは辛すぎる苦痛自体を
処理し軽くしていくのが望ましいです。

心の傷となった出来事と
向き合う必要はありません。
すでに感じている苦痛を、
淡々と処理すればいいのです。

もし過去の記憶が頻繁に蘇るならば、
その都度体を使ったアプローチで処理していくと、
確実にその頻度、苦痛の度合いが減っていきます。
体を使った作業という感じです。

具体的な方法は拙著、
理由のない不安を一瞬で消す方法(主婦の友社)に、
マイナス感情があふれ、収拾がつかないときの対処法
として載っています。
ご参考にしていただければ幸いです。

「自分が悪い」という思い込みを修正する

辛い出来事がトラウマになると、
根拠なく「自分が悪い」という思いに
囚われやすくなります。

精神的に自分で自分を
傷つける行為です。
時には実際に、
自分を傷つけてしまうことすらあります。

周りの誰もが、
「あなたは悪くない」と思っていても、
自分だけ「自分は悪い」となってしまうのです。
この自己否定を修正することは、
心の傷を解消する際の必須項目です。

まずはこのような現象が起きることを、
知っていただくことが大事です。
そして根拠なく「自分は悪くない」と
言い聞かせてみましょう。

「そんなことを言ってしまっていいのだろうか」と
後ろめたさを感じてしまうかもしれません。
でも根拠なく「自分は悪い」と思ってしまうとしたら、
根拠なく「自分は悪くない」と言い聞かせて、
ちょうど釣り合いが取れる感じです。

遠慮することなく、
どんどん言ってみることをお勧めします。
声に出すことができれば、
より効果的ですが、
人前では心の中で言っていただいても、
大丈夫です。

心の育て直し

激しい感情の処理が進み、
自己否定が和らいでも、
何とも言えない空虚感、孤独感が
残ってしまうことがあります。

そんなときは、
心の育て直しを行なっていくと
心が満たされていくでしょう。

これは一回の出来事がダメージによる心の傷より、
いじめ、パワハラ、虐待などを、
長期間受け続けた場合に空虚感が残りやすいです。

成長の過程で、
心の栄養を受け取る機会を逸しているのです。
あるいは受け取れない状態に、
なってしまったからです。

心の栄養になるのは、
十分な理解といたわりです。

自分の心には理性の部分、
感情の部分があります。
そして心の栄養は、
感情の部分が必要としています。

感情は子どもの部分とも言えるので、
ここに働きかけるアプローチを、
インナーチャイルドワークと
呼ぶこともあります。

これらのアプローチを、
総合的に行なっていくことで、
トラウマは解消されていくのです。

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